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使いみちのない風景

もうすぐ6月も終わりですね。
なのに、いまさらですが、この春よく聴いていた音について書いておこうかと思います。

新譜でもなく、2007年にリリースされた、ベイルートのセカンドThe Flying Cup ClubとシングルLon Gisland。
ファーストGulag Orkestarが話題になった時は、ちょこっと試聴してスルーしてしまったのです。ざっくりした民族的な音や、朗々と歌い上げるボーカルスタイルがわりと苦手なもので…。(特に朗々系ボーカルを聞くと、私の脳内では、「千の風になって」の歌手、秋川さんの劇画調マユゲが千の風になってぶんぶん飛び始めるので、とっても困ります 苦笑)

でも、なんだか、特にセカンドが今年の春の気分には妙にマッチして、毎日聴かずにはいられない時期がしばらく続いたのです。
なぜか。
子どもの頃、母がときどきシャンソンのレコードをかけていたので、ファーストの東欧系の音よりは、セカンドのシャンソン系の音の方が自分にとって親しみやすいというのもありますが。

でもそれだけでなく、そのシャンソン系の音を奏でつつ朗々と歌っているのが、ザック・コンドンという、ニュー・メキシコ州出身の1986年生まれの青年であるというのが大きいのかもしれません。

そもそも民族音楽的な音にあまり入り込めないのは、「興味深い」と頭では思えても、心情的に入り込めないというか、やはりどこか自分はその共同体に属していないという疎外感があるのです。かといって、日本の民謡などに懐かしさや帰属意識を覚えるかというと、それもなく。母国日本も含めて、どの民族的な音も、自分には国境のあちら側のように感じられてしまうのです。

一方、アメリカ生まれのザックは、音の国境や時代までもひょいと飛び越え、アナクロでフォークロアな音を奏でる。彼だって、自分がその音の共同体に本来属していないことなど百も承知だろうけれど、でも、そこに飛び込んで、高らかに歌い上げてしまえる。そして、その音がなぜだか、ものすごく懐かしく響くのです。

異国の音なのに、無性に懐かしい。
不思議だ不思議だ、本当に不思議だ。
と思っていた折、本の整理をしていたら、村上春樹のエッセイ『使いみちのない風景』の文庫本が出てきました。一回しか読まずに本棚の奥に紛れ、所有していたことすら忘れていたのですが…。

稲越功一の写真で彩られたこのエッセイ集をぱらぱらと読み返しているうち、得心が行ったのです。
そうか。
ベイルートの音は、自分の中の「使いみちのない風景」を喚起するんだ。
村上春樹の言葉を借りれば、「おそらく我々の精神の奥底にじっと潜んでいる原初的な風景」に結びつくもの。ザック自身にとっても「使いみちのない風景」だからこそ、「本物」の民族音楽には喚起できないものを揺り動かすことができるのかもしれない。

そんなことをつらつら考えつつ、過ぎていった2009年の春でした ^-^。








Beirutオフィシャル(英語)
ベイルート Beggars Japan内サイト(日本語)
2009年06月26日 | Comments(8) | 音楽[B]
コメント
No title
エントリありがとうございます♪
秋川さんの劇画調マユゲとは(爆)やはり素敵な脳をお持ちでらっしゃる~♪
2つ目の動画、サーカスみたいね。楽しそうで悲しそうで、ちょっとコワイみたいな。大学の時私が所属していた音楽サークルを思い出しました。みんなライブの時はすごくカッコいいんだけど、お酒は飲むと本能むき出しで生なましすぎてねぇ~。。。あんなに好きだったのに自らフェードアウトしてしまいました。
とにもかくにも、砂漠に染み渡る水の如く、ありがた~く読ませて頂きましたよ。
村上春樹、なぜか避けて通ってきていたので、今度読んでみようかな♪
チケットありがとね。夏が待ち遠しいです!
chika URL 2009年06月26日 17:03:04 編集
No title
>chikaちゃん

早速のコメントありがとう☆

秋川さん、濃いよね~?(^^;)
もう、脳内ダンシングしちゃってダメなのよw。

2つ目の動画も濃いけどね。
大学のサークル、こんな感じだったの!?
ますますタイムマシンでchikaちゃんの青春時代を覗き見したくなる今日この頃(笑)
Elephant Gunの歌詞がすごく好きで、この映像のイメージと私はかなり違ったんだけど。でも、欲望が乱舞する世界と、ザックが独り海でトランペットを吹いているシーンとの対比が良いんだろうね。

村上春樹は作品によって好き嫌いがかなり分かれるけど、とりあえず「使いみちのない風景」はサラリと読めるエッセイだし、稲越さんの写真も良いよ♪

夏、もうすぐだね!
skysong URL 2009年06月26日 20:41:22 編集
No title
skysong様>

上の二つ、ジックリ聞かせていただきました。ワタクシ個人は好きな系統の曲なんですけれど、あなたが想ったようになかなか考えさせられる曲ですね。

ライ・クーダーみたいにいろんな様々な土地の土着音楽を摂取していく人もアメリカにはいますが、ベイルートの彼にとってフォークロアな音ってのはどんな意味があるんでしょうかね。

「ベイルート」というユニット名も含めて、気になるところです。

確かに自らの民族的背景とは無関係な曲を行っているでしょうけれど、そこに自己解釈を加えて持ち味としていく。それが結構難しくて、大体の人はワケ解らなくなっちゃうんですけれど、この曲に関してはあっさりとジャンプしちゃってる印象を持ちました。

文章の最後のところ、凄く頷かされました。

自分の心の奥底を揺さぶられる何かがあるんでしょう。それが何かは判らないんだけどね。

僕ら洋楽リスナーも感じている何かと同じだと思うんですけれど、このザック君も(別の形ではあるけれど)感じているんでしょう。それが素直に現れた佳作ではないかと思いました。

なんか、想像ばかりで書いちゃって、申し訳ない(^^ゞ
kikka URL 2009年06月27日 12:40:54 編集
No title
>kikkaさん

ライ・クーダーはあまり聴いたことがなくて、ブルース系のイメージが強かったのですが、様々な土地のルーツミュージックを取り入れているのですね。

あえてザックのインタビュー類を避けつつ聴き込んできたので、彼にとっての意味は私も想像することしかできないのですが(案外「だって、こういう音楽がやりたかったんだもん!」みたいなノリだったりして 笑)、ざぶんと飛び込んだ末、どこか普遍的な場所まで到達しえているから、心揺さぶられるんでしょうね。

まだ若いのにすごいなと、母さんは関心してしまうのでしたw。
skysong URL 2009年06月27日 20:08:13 編集
No title
skysong様>

>ライ・クーダー

少しザックとは違うと思いますけれど、アメリカに関連する土地のルーツミュージックをいろいろと取り込んでおります。例えばブルースに始まって、沖縄音楽とか、テックス・メックスとかね。

>こういう音楽がやりたかったんだもん!

その可能性は大ですな(笑)。ただ、その興味って非常に大事な事ではありますね。深く掘り下げるか否かは個人の資質なんでしょうけれど、ザックに関する記述を見ていると、東欧音楽にかなりやられていそうな気がします(笑)。元々、探求心旺盛な人な感はありますね。

>母さん

あーた、そこまで開き直らんでも(笑)。
kikka URL 2009年06月28日 00:57:00 編集
No title
>kikkaさん

ライ・クーダーについて教えてくださってありがとうございます。

>探求心旺盛な人な感はありますね
ザック、wikipediaによると高校中退してパリに渡り、ジプシー連中と3年ほど過ごしたそうで。その行動力もすごいけど、ジプシー生活をすれば、必ず彼のような音楽が作れるようになるってわけでもないので、行動力と能力がうまくマッチしたんでしょうね。

>あーた、そこまで開き直らんでも(笑)。

「素直」と呼んで下さいな♪(笑)
skysong URL 2009年06月28日 18:26:56 編集
秋川さんやってきました。
今朝、車の運転中にいきなりElephant Gunのメロディと秋川さんの踊りが浮かんできたわ~。私の中に「使いみちのない風景」はないけれど、skysong嬢の言わんとしていることが解った気がしました。いきなり直結する感あるよね~。歌詞レポ待ってます!

最近歌詞検索すると決まってあなた様のサイトとつながる事が多いのです。ネットって本当にワールドワイドなのか甚だ疑問(笑)
chika URL 2009年07月02日 02:53:58 編集
No title
>chikaちゃん

「使いみちのない風景」って、決して秋川さんのお顔のことではないからね!(爆)

歌詞、訳してみましたー

 >ネットって本当にワールドワイドなのか甚だ疑問(笑)

検索エンジンにウィルスが紛れ込んで、sww(スモールワールドウェブ)になっているのかもよ(笑)
skysong URL 2009年07月02日 17:05:53 編集

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