スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--年--月--日 | スポンサー広告

建築の記憶展 @東京都庭園美術館

せっかく桜が咲いたのに、今年の桜は心に響かない。
今年の桜がいけないのではなくて、それを感受できる周波数に心を合わせられないのだ。
数日来、なぜかShine On You Crazy Diamondが頭の中でグルグルと鳴り続け、どの桜も遠く、小さく、色あせて見えてしまうのをどうすることもできない。
春は、新芽やつぼみが次々と開く季節であると同時に、日常封印している様々な懸念や悔恨までもがふつふつと顔をのぞかせる時期。まるで、何年も前に植えて忘れたはずの球根から、芽が出てきて驚かされるような。3年前の春はその啓蟄に心身ともに負けて2ヶ月ほどダウンしたけれど、今年は大丈夫。考えても仕方のないことだから、日頃は封印しているけれども、考えても仕方がないとはいえ、抑圧ばかりしていてもどこか無理が生じるだろう。春の芽吹きと一緒に、少しは出てきても良いよ。そんな風に、ちょこちょこと顔をのぞかせるネガティブたちと付き合う覚悟は一応できている。

そんな気分だったので、久しぶりのオフ日で、ずっと行きたいと思っていた『建築の記憶展』がいよいよ終わりそう(3/31まで)というのに、出かけるかどうかずいぶん迷ってしまった。結局昼過ぎにようやく家を出て庭園美術館に着いてみれば、午前中は晴れていたのに冷たい雲が白々とたちこめてきて、やはりここでも桜が遠くよそよそしく見えて残念。

RemenbranceCherryTree


けれども、エントランスに足を踏み入れれば、乳白色のラリックのレリーフが出迎えてくれて心底懐かしい気持ちで満たされる。ああ、やっぱり来て良かった。久しぶり、と、レリーフの女神達に心の中で馴れ馴れしく挨拶。朝香宮邸のおっとりとしたアールデコの意匠、ほの暗さ、建物全体が過去の記憶をゆるやかに呼吸しているようなたたずまいには、祖父母の昔の家や、母校の古い校舎などを思い出させられて、肩の緊張がふっとほぐれるような心持になるのだ。

そんな中、ゆるゆると展示を見始めると、19世紀半ばに撮影された熊本城や江戸城、島津斉彬が撮影した写真まであり(なんだかネガのようなハッキリしない写真ではあったけれども)、貴重さに興奮。さらに、建築途中の鉄骨骨組みだけの東京駅とか、建築中のニコライ堂、辰野金吾のディテールのドローイングに興奮…と、建築フェチのアドレナリン増加。近代の村野・丹下・前川の後、現代が安藤忠雄・伊東豊雄・青木淳だけだったのが少し寂しかったけれども、限られた展示スペースではいた仕方ないか。

一通り見て、一番大きなインパクトを感じたのは、丹下健三の広島平和記念資料館(arch-hiroshima解説ページ)の写真だった。写真集では何度も見ていた、石元泰博さん撮影の平和記念資料館なのだけれども、この日はじめて、この写真から何かを教わった気がする。まだ周囲にほとんど何も無い、茫々とした大地の上に掲げられた直方体。学生時代は、単純に「モダニズムの典型的な造形」とアタマだけで理解した気になっていた作品。この造形に、どれだけ強烈な平和への意志がこめられていたのかが、体の芯にまで響いてきて、何かに打たれたようにその場に立ち尽くし、少し涙ぐんでしまった。

桜と波長が合わなくても、あの写真になぜかカチリと感受性のチャンネルが合ったことは、この日の、この春の収穫かもしれない。
未だ行ったことのない広島に、いつか行ってみよう。
行ったところで、その時ちゃんと感性の周波数をカチリと合わせることができるかは分からないけれど。往々にして、私は後になってからカチリ!とくる遅咲きタイプなのだから、« Tu n'as rien vu à Hiroshima.» と、なりそうではあるけれど。

RemenbranceOfPlacesPast

(展覧会カタログは売り切れていたので、チケット下の写真集は家にあった別のものです)
2008年03月29日 | Comments(2) | Art
コメント
春の空気
桜も咲きはじめ(仙台はまだですが)、あちこちで両親とともに新大学生が引っ越ししてたり、花粉症もしっかり発症してるから春が来てることはちゃんと分かってる。なのに何故か心はまだ冬のままだったりして、季節の変化に自分全体がついていけないことがよくあります。この時季でも春の空気を読んでないかのような雪が舞うこともあります。雪降る中花見してたりしますから(笑
庭園美術館は随分前に一度行ったきりで、美術館の記憶はさっぱりないのに緑の印象だけが残ってます。
kaku-san URL 2008年03月30日 12:16:15 編集
No title
>kaku-sanさん
春の到来を知るのが花粉症っていうのもツライですね(^^;)
今年の桜でいまひとつウキウキし難いのは、花冷えで寒いっていうのもあります。人類最上級の寒がりなもので…w。雪の中の花見も風流そう、と思いつつ、私には絶対ムリです(笑)。

庭園美術館のお庭、見事ですよね。建物は決して派手ではありませんが、訪れる度にちょっとした発見があり、愛着の沸くところだと思います。
skysong URL 2008年03月31日 20:58:53 編集

管理者だけに表示する
 | HOME | 

プロフィール

ブログ内検索

最近の記事

全ての記事を表示する

最近のコメント

タグリスト

カテゴリー

月別アーカイブ

Visitors

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。