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惑星の思考

9月11日、昨日のこと。
作家、宮内勝典(かつすけ)さんと坂本教授によるシンポジウム「惑星の思考--9・11以後の芸術と言葉」に行ってきました。
宮内さんの最新著書の刊行記念イベントです。
planet

惑星の思考―〈9・11〉以後を生きる / 宮内 勝典

始まるまでは、「ああどうしよう、夏バテ以来まともにアタマを使っていなかったから、お話が理解できるだろうか?」と心配で(笑)。しかも、数日前には、せっかくシンポジウムに来たのに、席に着くなり昏々と眠ってしまい、気付いた時には全部終わっていた…という、ものすごーくリアルな夢を見てしまった私(苦笑)。正夢にならないよう、お友達たちに、万一寝てたらつねってもらうようお願いして臨みました。

けれども、まるで衣装合わせをしたように、黒の野球帽を被った宮内さんと、黒のハンチングを被った坂本教授が登場すると、そんな心配はなくなりました。宮内さんは難解な用語を多用しながら立て板に水でまくしたてるような方ではなく、むしろ、言葉を選びながら訥々と、時折絶句してしまいながらお話しになる、寡黙で純粋な方、という印象でした。坂本さんの『非戦』にも文章(「種・戦争・希望」)を寄せておられたのですね。(帰ってから慌てて『非戦』をひっぱり出しました。)

非戦 非戦
坂本龍一、sustainability for peace 他 (2001/12/20)
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まず、ご友人の紹介により、お二人がメールのやりとりを開始されたことからお話が始まりました。「この『坂本龍一』さんはホンモノだろうか?それとも架空の『坂本龍一』なのかもしれない」と、半信半疑でメールしていたとか(笑)。その後9.11があって、それに関するネット上の興味深い論考等について情報交換を重ねたことで、関係が一挙にリアルになり、『非戦』に繋がった。そして、お二人とも本当だったら社会的発言などしたくはない、可能であれば、ただ芸術をやっていられればどんなに良いかという想いを抱えている。でも、自分自身や家族のことなどを考えると発言せざるを得ないのが、今の世界の状況なんだ、という認識で発言している、というスタンスを明らかに。売名行為だと言われるが、「本当に売名したいなら、こんな大変なことでなく、もっと楽なことでやるよ」と、教授。宮内さんの早稲田大学の講義に坂本さんがゲスト参加された際にも、「(社会的発言は)売名行為ではないか」と発言をした学生がいて、「非常に腹が立った」と、宮内さん。一見、同じ所にいるように見えても、実際には地球の自転によって回転していくフーコーの振り子のように、芸術と社会的発言の両方の間を揺れていくしかないのではないか、という喩え方が、さすが小説家。

私は、ここのところ、月日の流れと生活の慌しさとで、9.11の衝撃が自分の中で薄らいでしまっていたことを白状せざるを得ません。でも、お二人のお話、特に当時も今もニューヨーク在住の坂本さんの当日の回想を生で伺うと、胸の中にひたひたと、あの日の衝撃、やりきれなさ、怒り、悲しみ…そんな感覚がリアルに甦ってきました。「あのような事件がもし日本で起きても、僕たちは本当に『非戦』と言えるのか」、という問いが鋭く胸に突き刺さってきます。個人としての私はやはり「非戦」と言うだろうと思っています(少なくとも、小さな声でなら)。でも、政府や周囲の国民がおしなべて愛国・闘争モードに染まってしまった時、それを食い止めるような発言・行動がどこまでできるだろうとシビアに考えると、胃のあたりがキリキリしてきます。

そんなことをズシンと考えさせられたり、「エ『ロ』ファンティズム」に笑わされたり、良い感じに思考を揺さぶられたひとときでした。最近の風潮として、人々が「癒し(「この言葉はすごく嫌いだけど」と、お二人とも言いながら)」を強く求めていて、芸術などにもそれが見られる。「癒し」を求める気持ちというのは、お二人とも分からないではない、でも、昨今もてはやされている癒しのための癒しのようなものでは物足りない。むしろ、大竹伸朗さん(昨年の回顧展「全景」)のようなすごいエネルギーに鼓舞されたい。あといくつ小説が書けるか、あと何枚ソロアルバムが出せるか分からないけれども、寡作を誇っていても仕方がない。(作品が10トントラック何十台分もあるという)「大竹伸朗さんを見習おう!(笑)」という結論で終了したのでした。(ちなみに『惑星の思考』の表紙は大竹伸朗さんの作品です。)

司会の方がどんどん哲学的な方向に舵を向けられ、熟考型の宮内さんが「うーん」と苦悩してしまう場面も何度かあり、話の落しどころに辿りつくんだろうかとハラハラすることもあったのですが、時に深い悲しみに満たされたり、時に笑い転げたり、感覚を鼓舞していただきました。予約をとってくれたchikaさん、ありがとうね!catcansさんも♪

数日前から、テスト前の駆け込み勉強のように宮内さんの『ぼくは始祖鳥になりたい』を読み始めていたのですが、読了したら『惑星の思考』も読みたいと思います。店頭で手にとってみたところ、『惑星』はエッセイ集のようです。(刊行記念シンポジウムのわりに、それがどういう本かという話が一切無かったんですよ… 笑)
そうそう、昨日言い忘れたけど、『始祖鳥』の表紙はタレルです!>chikaさん、catcansさん
archaeopteryx

『ぼくは始祖鳥になりたい(上)』
『ぼくは始祖鳥になりたい(下)』

☆宮内勝典公式サイト「海亀通信」
☆坂本龍一公式サイト sitesakamoto

2007年09月12日 | Comments(2) | Trackback(0) | 小説以外の本
コメント
タレルですかぁ?へぇ~驚きました。以前行かれた金沢美術館の作品かな? 
この対談から帰ってCHASMをまた聴きだしてます。Zeppのライブも、ロンドンでのテロの直後だったよね。音楽を通じて共鳴できることは救いのような癒しのような。。。(あっ癒しは不適切でした(笑))
帰り道、『一緒に仕事をしてきたアメリカの友人達が9.11以降顔つきが変わっていった。皆がナショナリズムになっていったのが怖かった』って言った教授の言葉を思い出し、想像して怖くなったよ。

でこの後、CD-R渡し間違えたことに気付き、お顔に火がついたってわけ。
いつもごめんね~!まだ友達でいてね。
chika URL 2007年09月16日 01:03:07 編集
>chikaさん
タレルなんだけど、金沢21世紀美術館の「タレルの部屋」の元となった、ロンドンのAir Massだそうです。『始祖鳥』が刊行されたのは、21世紀美術館ができる前のことだったので。

>帰り道、『一緒に仕事をしてきたアメリカの友人達が9.11以降顔つきが変わっていった。皆がナショナリズムに…

リベラルなNYでさえそうだったんだからねぇ。。。
日本は極端に愛国心が強い人たちと、逆に国家に対して冷めているor懐疑的な人たちとの温度差が強いように思うけれども、有事になったときには分からないですね。

CD-Rの件はメールで書くね~♪

skysong URL 2007年09月16日 09:09:33 編集

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